スマホをゆうパックにて国内発送しようとした際に、
リチウム電池が入ってると空路で送れないかもしれませんよ?という話が挙がったので綴り綴り…
リチウム電池の発送・輸送
配送方法が「陸路」ならば問題ないらしいのだが、
配送方法が「空路」であると危険物の項目にリチウム電池が含まれるようだ。
(結論だけ言えば、各配送業者のリチウム電池の発送条件を満たす範囲であれば発送可能である)
※各配送ホームページには、リチウム内臓機器等の発送においての条件が記載があります。(例:100Wh以下の組電池”バッテリー”、20Wh以下の単電池”セル”など)
また、機器に内臓されていないリチウム電池やリチウム電池を一度に送れる個数とその際に必要となるラベル(発送の際に必要なリチウム電池取扱ラベル)の有無の基準等については、
各配送業者によって異なる場合が可能性があるため各ホームページにてご確認下さい。
ジャパンポスト(日本郵便局)
・[引き受け可能なリチウム電池][リチウム電池取扱ラベルの記載方法](出典:ジャパンポスト[日本郵便局ホームページ])
条件等あるものの最終的には、空路での配送ができました。(お問い合わせ番号から配送履歴確認済)
※日本郵便では、リチウムイオン電池及びリチウム金属電池ともに電池のみの発送は不可です。(上記:ジャパンポスト[引き受け可能なリチウム電池の2項]等参照下さい)
条件を満たしていない場合および条件を満たしているかが不明な場合は、1日~4日程度配達が遅れることがあります。
(出典:ジャパンポスト[日本郵便局ホームページ])
また、国際発送については、
日本郵便での一例)
・リチウム電池を機器に取り付けない状態で同梱したものは不可(勿論、リチウム電池のみも不可)
・配送可能な国や地域であること
など、国内郵送とは異なる基準があるため注意が必要です。
(出典:ジャパンポスト[日本郵便局ホームページ])
と、発送について学び直す機会となりました。
いい機会なので、航空機の機内持ち込みについてのリチウム電池等の制限も再認識してみよう。
旅客機におけるリチウム電池等の機内持ち込み
飛行機での旅行や移動等の際、機内持ち込みできるものとできないものにもリチウム電池の項目があります。
リチウム電池またはリチウムイオン電池を内蔵した電子機器(腕時計、計算機、カメラ、携帯電話、パソコン、ビデオカメラ等)
内蔵される各々の電池の容量が以下の容量を超えないもの
・リチウム電池はリチウム含有量が2g以下のもの
・リチウムイオン電池はワット時定格量が160Wh以下のものリチウム含有量が2gを超える場合、またはワット時定格量が160Whを超える場合は機内へお持込みもおあずかりもできません。
出典:JALホームページ[おあずけ・機内へのお持込に制限がある手荷物ついて]
など詳細に記載されています。
その中でスマホやバッテリーの持ち込みにおいて特に抑えておきたいところは下記の3点。(持ち込み可能な重量・サイズ範囲が前提)
≪リチウムイオン電池の機内持ち込みついてのポイント≫
・機器に内蔵されている場合は、160Wh以下のバッテリーなら持ち込み可(個数制限なし)
・予備電池は100Wh以下ならば持ち込み個数制限無しであるが、100Wh以上160Wh以下の場合には最大2個まで。
・短絡防止の措置が行われていること
(※上記3点はJAL/ANA/PEACHに同様の記載が見受けられます)
※短絡防止の措置とは電池・バッテリーから電気が他の物質に漏れないための措置(プラスチックケースに収納/絶縁素材で包む等)が必要ということ。
※リチウム含有量2g以下の項目については、
概ねリチウム金属電池の場合の基準にあたるそうなのでリチウムイオン電池の場合は160Wh以下という基準でみるといいそうです。
※リチウムイオン電池の場合は「Li‐ion」と記載されている事が大半です(日本市場において)。特にスリーアローマーク(リサイクルマーク)の下が多いですが離れた場所に記載されている事もあります。
ANA:[国内線]制限のある手荷物(機内持ち込み・お預かりできないもの)
(出典:ANAホームページ)
さてさて次は、発送(輸送)や機内持ち込み「○○Wh以下」等の制限がありますが、
一体「Wh」って何?
という事とその計算に方法についてを下記に綴っていきましょう。
「Wh」は何か?と計算方法
「Wh」とは何か?
無論、「what」のwhではありません。
W ”ワット/watt”:電力
h ”アワー/hour”:時間(1時間=1h)
ただ、上記の公式では計算がしにくいため分解していくと、
電力[W]=電圧[V]×電流[A]ですので、
Wh=電圧[V]×電流[A]×時間[h]である。[蓄電池など直流回路(DC)の場合]
※交流回路(AC)では更に力率の掛け合わせが必要ですがバッテリー(蓄電池)は直流のため省略。
次に、電流[A]×時間[h]=放電容量[Ah]とまとめると、
★電力量[Wh]=電圧[V]×放電容量[Ah]
↑
ココを抑えて置けばスムーズに計算できるかと思うので公式分解や薀蓄(うんちく)は無視してOK!
ココだけ分かればそれで良いと言っても過言ではありません。
※バッテリー類では放電容量としてmAh”ミリアンペアアワー”で記載されているものが多いため、「mAh」を「Ah」”アンペアアワー”に変換するのをお忘れなく。
(1000mAh=1Ah)
また、10000mAhのバッテリー=10000mAの電流を一時間流せる量を蓄電できるバッテリーという意味合いでいいか思われます。
例にて計算してみよう!
・10000mAh
のバッテリーは何Whか?
まず、ミリアンペアアワーをアンペアアワーに変換(10000mAh=10Ah)
Wh=5V×10Ahとなるため、50Whとなります。
余談かつ参考までに、
・リチウムイオン電池の公称電圧[V](標準電圧)は3.7V程度
・iPhone7のバッテリーの容量を挙げると1960mAh
これらを加味するとスマホのバッテリーや予備バッテリーの多くは100Wh以下に収まるかと思われます。
平べったくないリチウムイオン電池もある!
リチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池)には円筒形、角形、シート状のように平べったいものなど様々な形があります。
(余談:一次電池は充電できず放電しきると終わり、二次電池は充電する事で繰り返し使えるものを指します)
様々な形がある中で円筒形のリチウムイオン電池の代表を1つ挙げてみると、
「18650リチウムイオン蓄電池」でしょうか?
家庭での用途としては、強力なフラッシュライト等に使用する事が多いでしょうか。
また、「18650リチウムイオン電池」の18は直径、65.0の長さ(単位㎜)を指します。
一見、単3電池等に似てると感じる人もおられるかもしれませんが、大きさが違います。(外観の大きさも電圧も)※取り扱い方もリチウムイオン電池としての取り扱い方が必要となります。
大きさと電圧例) 単3電池の場合
<サイズ>
直径:13.5 – 14.5 /長さ:49.0 – 50.5(単位㎜)
<電圧>
ニッケル水素電池(エネループ等):公称電圧1.2V
アルカリ乾電池/マンガン電池:公称電圧1.5V
なので、「18650リチウムイオン電池」と比較するとサイズにおよそ直径5㎜/長さ15㎜の差があり、
電圧においても(リチウムイオン電池は公称電圧3.7Vのため)単3電池約3本分ですね。
リチウムイオン電池の取り扱いの注意点を思いつく範囲で挙げてみる
※思いつく範囲の為、詳細等は各所や各機器の取扱説明書等にてご確認下さい。
・水に濡らしてはいけない
・特に短絡させないようにバッテリーを裸で保管しない(ケースや絶縁素材で包む)
・過充電させない(充電したまま放置せず、充電が済んだ時点で充電を止める)
・(直射日光や夏場の車内などを含み)高温になる場所に放置しない
・火器等に近づけない
・しっかりしたメーカー品を選ぶ
・発煙、発火した際に水をかけるのは水素が発生する可能性があるため危険とされているため
注意が必要
など。
思いつく注意事項を挙げてみただけでも発送や機内持ち込みの危険物の項目に取り上げられるのも頷けます。
また、普段から携帯電話やパソコンやカメラなどの家電製品を使用しているからといって軽んじて痛い目に合わないためにも注意が必要ですね。
ー纒ー
スマホを発送しようとした際に「送れないかもしれませんよ?」と言われたことにより、このテーマが生まれたというのだから有り難いものですね。
纏めると、スマホを発送しようとした結果、最終的に電池類の取り扱いを再認識できましたよ!というお話でした。